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肺気腫について
   たばこと関係した呼吸器の病気としては、肺癌がすぐに思いつくものと思います。癌は日本人の死因の第一位を占め、実際に男性では肺癌が最も多い病気となっています。
   しかし肺癌以外にも多くの病気が喫煙と関係し、なかでも肺気腫は喫煙が大きな要因となっている呼吸器の病気です。

肺気腫とは
   肺気腫は慢性気管支炎などとともにいわゆる慢性閉塞性肺疾患とよばれる一群の病気に含まれます。欧米と比較して日本人には比較的頻度が少ないと思われていましたが、最近その増加傾向が注目されています。
   私たちは生命を維持するために空気から酸素を取り込みます。吸い込まれた空気は気管・気管支をとおり最終的に肺胞といわれる葡萄の房のような形をした部分に至り、そこから酸素が毛細血管に取り込まれます。肺気腫ではその肺胞といわれる部分が慢性的な炎症や加齢により破壊され、肺胞が広い範囲で破壊されることで肺は弾力を失い、呼吸面積が減少します。こういう変化は進行性・不可逆性で、そういう意味では肺気腫は治らない病気といえます。
   肺気腫は中年以降の男性に圧倒的に多い病気です。原因としては肺をまもるタンパク質が遺伝的に少ない場合や、加齢などがありますが十分には解っていません。しかし多くの人で喫煙が関係しており、実際にはほとんどの患者さんが重度の喫煙歴のある方です。

症状・診断・治療は

    症状としては軽い咳や痰がでるといったこととともに、動いたときの息切れが出現してきます。息切れは最初は急いだときや階段あるいは坂道の上り下りの時だけですが、進行してくると平地の歩行でも出現し、重症になると自分の服の着替えだけでも息が切れ、やがて酸素吸入が必要になってくる人もいます。肺が弾力を失い拡がるとそれに伴い胸郭も拡張し、まるでビール樽のようなといわれる胸の形になる人もいます。
    診断は長年の喫煙歴・息切れを中心とした症状・呼吸音が弱いことなどとともに、心電図や胸部のレントゲン写真・CTといった画像所見に呼吸機能検査をあわせておこないます。胸部写真やCTでは全体として拡張した肺・嚢胞(のうほう)の形成・実際に働く部分の肺構造の減少などがみられます。
    病気が進み重くなると心電図でも心臓に対する負担が明らかになってきます。呼吸機能検査をすると肺活量の減少よりも空気の出入りがしにくい状況がより明らかになってきます。
    治療としては薬による内科的な治療・呼吸筋力を強める呼吸リハビリテーション・手術といった外科治療があります。内科的な治療としては気管支を拡げたり痰を出しやすくする薬・慢性的な炎症を抑えるステロイドホルモンといったものが中心です。呼吸機能訓練としては口すぼめ呼吸・腹式呼吸などがあります。外科治療としては働いていない肺の一部分を切除したりレーザーで焼いたりする治療がありますが、効果についての評価は確定していません。根本的な治療は心肺同時移植だけですが、現在の日本では現実的なものではありません。症状が強く、血液中の酸素濃度が十分保てない患者さんには酸素吸入が必要となってきます。

大切な予防

    進行性の肺気腫には根本的な治療法は無く、なによりも予防が必要になってきます。肺気腫の患者さんの死亡原因としては肺炎などの感染症と、慢性的な低酸素血症による心不全が圧倒的に多いものです。それらを予防するためにはインフルエンザの予防接種を受けること、普段からよくうがいすること、必要なときには適量の酸素吸入を続行することなどが重要になってきます。しかし何よりも一番重要なことは禁煙です。
    私たちの呼吸機能は成人になった頃をピークとして中年以降老年期へと確実に低下してきます。特に喫煙者では呼吸機能の低下が中年以降極端となってきます。禁煙をしたからといっても失われた呼吸機能はあまり改善しませんが、どの年代においても禁煙することによりそれ以後の悪化する呼吸機能のスピードを減少させることが可能です。海外では喫煙にともなう肺気腫の外科治療に対しては保険会社がお金を支払わない場合も出てきているようです。  中年以降の喫煙男性で最近息切れがででてきたと感じる方は、お近くの呼吸器科医を受診されてはどうでしょうか。
-MEDICAL INFORMATION 高知市版vol.2掲載- 
花粉症について
1.花粉症とは
    毎年1月頃から次第にスギ花粉が飛散し始め、くしゃみや鼻水、眼の痒みなどで悩まされる人が増えてきます。アレルギー反応で生じる鼻炎や結膜炎のうち、スギに代表されるような花粉がアレルギーの原因であるものを花粉症と呼んでいます。
2.どうして花粉症になるの
    花粉症の患者さんだけに花粉が降り注ぐわけではありません。症状の無い人でも花粉は鼻の粘膜や、眼の結膜にひっつくわけですから、鼻水や涙で花粉を洗い流すのは身体の正常な防御反応です。しかしその正常な反応が必要以上に強く現れると、アレルギー反応としての症状が認められます。  花粉症の人でも生まれたときから花粉に対してのアレルギー反応があるわけではありません。繰り返し花粉が身体に入ってくることで、血液のリンパ球を中心とした細胞がその花粉を迎え撃つミサイルのような抗体を造り、鼻の粘膜や眼の結膜に花粉がひっつくと反応し、いろいろなアレルギー反応に伴う物質が造り出され症状が出現してきます。
3.花粉症の診断は
    花粉症としてはスギ花粉症がもっとも多く有名ですが、スギ以外にもヒノキやブタクサ、ヨモギ、カヤなど様々な植物の花粉が花粉症を生じさせることがわかっています。また一見花粉症のように思えても、ダニやカビ、ウサギなど花粉以外のものに対するアレルギーでおこる鼻炎や結膜炎もあります。  原因をつきとめるためにはいつどのようなときに症状が出現するかをよく考えることが大切です。原因と考えられる物質を含む材料を鼻の粘膜や眼の結膜にくっつけてアレルギー反応が起こるかどうかを調べるのが直接的ではありますが、現実にはいろいろな物質を検査に適した形にすることは大変ですし、また時には非常に強い反応で身体に危険が生じる場合もあります。そのため特殊な状況を除いては原因と考えられる物質に対してその人が抗体を作っているかどうかを採血で測定するのが一般的です。
4.治療は
    一番確実な治療法としては原因となる花粉に曝されないようにすることですが、現実的にはマスクや眼鏡などで曝露を少なくすることしかできません。そのため薬剤による治療が必要になりますが、そういった薬剤にはアレルギー反応の起こる鼻や眼といった局所に使用するものと、内服や注射として全身的に使用するものとに分けられます。またそれらの薬剤は現在起こっている症状の鼻水や痒みという症状を軽くする薬剤と、原因であるアレルギー反応を起こさないように予防する薬剤とに分けられます。症状の強さや生活様式によってもそれらの薬剤を組み合わせて治療を行います。  場合によってはステロイドホルモン剤も使用されますが、なるべく局所への投与に限定し内服剤によるステロイド治療は専門医に相談が必要です。また局所投与でも眼への使用は眼科医への相談が必要と考えます。  その他に一ヶ月近く効果の持続するステロイドホルモンの筋肉注射がありますが、ガイドラインにも使用が載っていませんし、アレルギー専門医としても本当に特殊な場合を除いては副作用も含め使用はお勧めしません。  アレルギーの症状が強くなってからの治療開始は、症状が落ち着くまでに時間もかかります。またより強力な薬剤が必要になりますので明らかに毎年決まった時期に花粉症の症状が出現する方は、症状の出現する2週間くらい前から早めの予防治療をお勧めいたします。




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